戦前や戦中、戦後の写真は、白黒のイメージです。
少なくとも、私がこどものころから見ていたものは白黒でした。
それをAIによる自動色付け技術で色を付け、
人々の記憶をたよりに、補正し、
カラーの写真にして、
その時代を身近に感じる、というような
「『記憶の解凍』プロジェクト」というのがあるそうです。
「記憶の解凍」とは素敵な言葉だと思います。
今回は、本(写真集)のご紹介です。
すごい高校生 庭田さん
渡邉英徳先生という方の研究室で
被爆者の体験と思いを未来の地球に残していくためにつくられた
「ヒロシマ・アーカイブ」という作品があります。
爆心地近くの地図に、当時の証言や、写真がちりばめられていて、
クリックするとその証言や写真を見ることができます。
さて、その「ヒロシマ・アーカイブ」に
広島で育った、当時、中学生の庭田杏珠さんという方が興味を持ちました。
彼女は、被爆者の証言収録をする委員会に入り、高校生のころには、
中島地区で育った方に原爆以前の写真をお借りして
渡邉先生から習ったAI技術を駆使しながらカラー化してお見せする
というような活動をされていました。
白黒の写真では思い出せなかった記憶、
もうすっかり忘れてしまった記憶が、
カラーになると、
生きているみたい・・・、これはタンポポ畑で・・・、この時・・・で、と
出てきたのだそうです。
これが記憶がよみがえる、「記憶の解凍」ということでしょう。
被爆者の方には時間がないんです、と
高校生のうちからご活躍されていた庭田杏珠さん。
余談ですが、ある時、東京大学に進学されていて、
ただの高校生じゃなかったんだなぁと驚きました。
第11回 広島本大賞
渡邉英徳先生のことは、庭田さんの新聞記事あたりから
存じ上げていたのですが、
ある時から、Twitterをフォローしています。
というのも、一昨年くらいだったと思いますが、
日本の各地の当時の写真をカラーにしたものや、
無邪気にあそぶこどもたちの写真をカラーにしたものを、
毎日のようにツイートしてらっしゃいました。
日本人ばかりではなく、アメリカ兵の写真や、
きのこ雲の写真、各都市の空襲の写真・・・。
広島に住んでいると、原爆のことしか聞きませんが、
原爆前後に日本中のあちこちで空襲を受けていたことを知りました。
知らなかった・・・。
ガリガリにやせた日本兵の姿。
戦時中の女の人やこどもたち。
やっぱり白黒よりも、カラーの方が
肌の色が感じられて生き生きとしています。
現実だったんだなぁと思います。
さて、昨年ですが、これらの写真をまとめた写真集が発売されました。
『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』光文社新書
著者:庭田杏珠・渡邉英徳
もちろん、Twitterで出なかった作品もたくさん載っています。
おススメです。
ちなみに、今年になって、(つい先日ですが)
第11回 広島本大賞に先日選ばれました。
今なら、書店にコーナーができてたくさん並んでいるかもしれませんね。
コメント